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コラム 08月15日更新

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未病を治す

第30回 自分の健康は自分で守る

 鍼麻酔とは中国で創造、発見された新事象であることは前号で記しました。
  その鍼麻酔という言葉も当然新語です。鍼治療は明治時代に入る迄は、漢方薬と共に日本の医療の主流でした。実は江戸時代の末期に、オランダの医学が長崎の出島を通して移入されましたが、日本の医療に大きな影響を与えぬまま今日に至っていることは、読者の皆さんもご承知の通りです。

  鍼で治療できる疾病は、内科、外科、婦人科、産科、呼吸器科、消化器科、泌尿器科、内分泌科、神経・精神科、眼科、歯科など、現代医学の専門分野を枚挙しようとすれば、千を越えるといわれます。くどいように、○○科と記したのには理由があります。

  現代医学は自然科学に基づいています。科学の一つの考え方は、物質や事象を分けて論じることです。科(わ)けるとも書きます。つまり医学の分野では、人体を限りなく分けてみて、身体のどこがどういうふうに悪いのか、詳しく検診し、治療や予防にあたります。大変秀でた医学・医療といえましょう。
  しかし一方では、人体はそれぞれの臓腑・器官・組織が有機的な生理機能を通して生命を維持しているわけです。そこで、東洋医学が全身を診(み)て、どこが健康の矛盾かを感知しようと心掛け、予防や治療にあたります。

  悪いところがあればそこを排除する、という思考は現代医療にままみられます。一方、東洋医学では、悪いところを見定めつつ、そこを健康な組織で取り囲み、悪い組織が出口・発展の場が無くす、という思考で治療に当たります。病む人の自然治癒力をいかに高めるかが肝心なのです。
  そのためには、病氣の原因にかかわっている本人の生活習慣を改めることが、実に大事なことはいうまでもありません。

  鍼麻酔の特長の一つは、危険がないことです。つまり薬物麻酔のように、ショック死等がありません。あるツボに、針の刺激を一定の条件(針の深さ、方向、時間)で充たすことによって、自身の体からエンドルフィンが分泌し、それが自身の身体をその目的に給するということなのです。また手術による瘡痕が美しく、早く癒えること、など利点を挙げることができます。その反面、個体差によって鎮痛効果にばらつきがあるなど、決して利点ばかりではありません。いずれにせよ鍼麻酔は痛みを伴う疾病には大変な福音ですが、あまり世間に広がっていないのが残念でなりません。



著者プロフィール:横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
1939年 茨城県常陸大宮市に生れる。
1964年 東京高等鍼灸学校卒業、
在学中から大塚敬節氏に師事し漢方を学び、後小川晴通氏に師事し鍼灸を学ぶ。
1971年 中国医学研究協会設立に参画。
1973年 中華医学会の招聘で訪中、
鍼麻酔、耳鍼療法学など我国に最初に紹介した1人。
現在、日本東洋医学会会員、日中医療普及協会会長、
新宿鍼灸師会会長、日本ホリスティック医学協会常任理事、一本堂鍼灸療院院長などの傍ら国内外の後進の指導に当たる。
■著訳書
『カラー版鍼灸解剖図』『最新中医針灸穴位掛図』『針灸経穴辞典』『針灸寄穴辞典』『アレルギーはツボで治る』『耳針療法掛図』
ほか多数。


(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

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