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コラム 11月15日更新

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未病を治す

第1回 自分の健康は自分で守る

 “山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。”これは夏目漱石の『草枕』小説の冒頭の文句です。人生には苦しみも楽しいこともあります。できることなら楽しい、幸福な日々を送りたい。誰もが願います。衣・食・住が満されていれば幸福だと考えられていた時代がありましたが、これらも実は健康が保障されてこそ、本当の幸福だと考えられるようになりました。幸福論を語るとするならば、もっといろいろの事柄を挙げねばなりません。例えば知識を生活の中で必要に応じて実践することを知恵と言いますが、誰もがその知識を知恵に活かしてほしいものと願っています。中でも表題の「自分の健康は自分で守る」ことは大変重要なことであり、このシリーズで考えてみたいと思います。

 私たちは生まれながらにしてツボを持っています。いうまでもありませんが、ツボは基本的に体表にあります。そのツボの特性を生かせば、体のどこに矛盾があるのかがわかります。また健康の維持と治療に役立てることも出来ます。ツボに関わる特性の活かし方は、手の指や手のひらを使って、押したり、もんだり、叩いたりする手技法、温熱を用いる灸法などがあります。また他に鍼法もありますが、ここでは触れておりません。

 今日使われているツボの考え方は古代中国で発展し、中国、朝鮮を経て、僧侶らによって、日本に伝えられたものです。それは約千二百年も前のことです。この伝承医学は漢代、つまり二千年ほど前に一定の完成をみたといわれています。当時、痛み、しびれ、ほてり、冷えといった症状は、悪霊(邪)が体表から体内に侵入して起ると考えられていました。そこで尖ったもの、火の燃えさしや、手を使って体を揉みくしゃにすれば、邪はたまらず、体外に逃げ出すに違いないと考えられました。思わくは的中しました。これが針灸、あん摩法の誕生と変遷の歴史です。

 人体は不養生や自然環境によって、しばしば病気になります。一方その病気を治そうとする機能も人体には備わっています。これを自然治癒力とか、自然良能と呼んでいます。その一例としてツボに刺激を加えると、自然治癒力が強く反応をおこします。こうしたことが科学的に証明され、今や世界中が注目するようになりました。外に食事療法や身近な利用できる薬草の話などをちりばめ、筆を進めたいと考えています。


著者プロフィール:横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
1939年 茨城県常陸大宮市に生れる。
1964年 東京高等鍼灸学校卒業、
在学中から大塚敬節氏に師事し漢方を学び、後小川晴通氏に師事し鍼灸を学ぶ。
1971年 中国医学研究協会設立に参画。
1973年 中華医学会の招聘で訪中、
鍼麻酔、耳鍼療法学など我国に最初に紹介した1人。
現在、日本東洋医学会会員、日中医療普及協会会長、
新宿鍼灸師会会長、日本ホリスティック医学協会常任理事、一本堂鍼灸療院院長などの傍ら国内外の後進の指導に当たる。
■著訳書
『カラー版鍼灸解剖図』『最新中医針灸穴位掛図』『針灸経穴辞典』『針灸寄穴辞典』『アレルギーはツボで治る』『耳針療法掛図』
ほか多数。


(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

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