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コラム 08月15日更新

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空の旅の将来を見据える!
極上のサービスを提供する世界のトレンドから取り残される日本勢

 成田シティージャーナル23号でJALの記事を執筆した際に、「庶民の気持ちも知らずに何を贅沢言っている!」というような辛口の意見を頂きました。しかし今回、あえて航空会社の今後の在り方について再度、筆をとることにしたのは理由があります。世界各国の航空会社が提供しているサービスは、ここ最近著しく向上してきました。それらグレードの高いサービスの実態を消費者が理解し、より質の高いサービスを航空会社に求めていかない限り、受け身になりがちな日系航空業界の体質からして、改善を期待できそうにないからです。世界のトレンドから取り残されない為にも、まず現実を見極めてみましょう。

極上のラウンジがフランクフルトに登場!

 空港での待ち時間を有意義に過ごすために、近年ラウンジの重要性が再認識されています。ごく一般的には国際線でビジネス、またはファーストクラスに搭乗すれば、無料でその航空会社のラウンジが使用できますが、最近ではクレジットカード等を所有していれば使えるラウンジも増えてきています。
 つい先日、マイル利用の無料航空券を使ってルフトハンザ航空のファーストクラスでドイツへ旅した際に、フランクフルト空港で極上のラウンジを発見しました。世界一とも言えるルフトハンザ航空のファーストクラス専用ラウンジとは如何なるものでしょうか。まず、地元の利を生かして、通常の旅客ターミナルとは全く別の場所にファーストクラス専用のターミナルを構築したことは秀逸です。小ぶりながらも高級ホテルのような立派な造りの玄関を通ると広い空間が目の前に広がり、すぐにコンシェルジェがエスコートしてくれます。このラウンジのシステムは、出発の直前まで自由にくつろぎ、時間になると、担当のコンシェルジェが呼びにきてくれるというものです。
 さて、ラウンジそのものも極上と呼ばれるにふさわしい最高の出来栄えです。レストランではステーキディナーを始めとして、食べたいものを自由にオーダーでき、すぐそばには大型のバーカウンターもあり、その雰囲気は一流レストランと比較しても何ら遜色はありません。また会議室のほか、6畳ほどの寝室もあり、ベッドでゆっくりと仮眠もできます。くつろげるソファーや、デスクワークをするための書斎スペースもあり、館内は全部無線LANが通っているため、ワイアレスでインターネットも自由に使えます。
 圧巻は飛行機までの案内です。迎えにきたコンシェルジェにエレベーターで下の階までエスコートして頂き、ファーストクラス専用の出国カウンターで手続きを済ませます。公務員の方が常駐している為、無論、待ち時間はゼロです。その後、建物の外に案内されると、そこには黒色のベンツが並んでいました。期待が膨らむ中、案の定、ドライバーの方がさっとドアを開けてくださり、自分の為のハイヤーであることがわかりました。驚くことに、運転手は空港内を自由に出入りできるIDカードを持っており、滑走路そばの搭乗ゲートの真下までベンツで向かうのです。車から降りた後は再度エスコートされて、後は飛行機に乗るだけです。殆ど歩くことなく飛行機に乗れる、正に究極のサービスと言えます。

ビジネスクラスでも極上のサービスを期待!

 一旦機内に搭乗すれば、何と言っても座席シートの座り心地と美味しい機内食が快適な飛行機の旅に不可欠となります。近年、航空業界のお手本となっているのが、シンガポール航空(SQ)とキャセイパシフィック航空です。SQの成田−ロスアンジェルス間、ビジネスクラスを例にするならば、ディスカウント航空券を使って20万円台で往復することができる大変お得な価格でありながら、寝る時には電動スイッチひとつで前の座席の下にもぐりこむように平らなベッドになるフラットシートでくつろげるのです。また座席前の大型テレビスクリーンは大変見やすく、空の旅を楽しませてくれます。そしてワゴンサービス付の食事があり、エコノミークラス定番のワントレイ・サービスとは違って、オードブル(前菜)、サラダ、メインコース、デザートと、分けて出てくるので、暖かいフレッシュな料理を楽しみながら、ゆっくりと食事ができます。
 成田から香港に向けて飛んでいるキャセイパシフィック航空のビジネスクラスでも、大変豪華な食事が出ることで有名です。当然ながらドリンクは各種取り揃えており、ワインとシャンペンはワゴンサービスで、フルボトルから注がれます。ドリンクサービスの後、客室乗務員がサラダとサーモンのたたき、蟹肉入り蕎麦が載ったトレーを運んできます。また、バスケットに入っているガーリックトーストとフランスパンの中から、食べたいパンを好きなだけ選べます。前菜を食べ終わると、次はメインディッシュが出てきます。スズキの蒸し煮か、牛ヒレのステーキ、またはチキンとカリンの中国酒蒸しから選びますが、どれも温野菜が添えられています。メインの後は、ワゴンサービスで各種チーズを、きちんとした木製のプレートに美しく並べられた中からお好みで選べます。その後、フルーツが出され、最後にハーゲンダッツのアイスクリーム、そして紅茶かコーヒーとなります。このようなフルコースのディナーがビジネスクラスの常識です。

顧客サービスの向上に努める航空会社

 空の旅を楽しむために、航空会社がしのぎを削ってサービスの改善に努めている姿を、ここ数年見てきました。例えば電源を供給するコンセントの確保と、機内でインターネットを常時接続するためのワイアレスサービスの提供です。今や、空の上でもメールを送受信したり、ホームページを閲覧することは当たり前のこととなりつつあります。また食器のグレードも上がってきており、安物の薄いプラスチック製の皿は高級感を著しく損うため、敬遠されています。また一時、テロ事件の関係もあってナイフはプラスチック製のものに変わった時期がありましたが、今では大半の航空会社がステンレス製のナイフに戻して高級感をアピールしています。
 携帯電話についても、計測機器の支障になる恐れがあるということで、機内での使用が堅く禁じられていますが、厳密には航空会社によって昨今改正された航空法の解釈とルールがまちまちであり、特に外資系の航空会社では、離陸の準備ができるまでは機内の中でも携帯電話の使用を認めているのがごく一般的です。飛行機が動くまでは運航していないという解釈を基に、顧客の利便性を優先させているのでしょう。最近のアメリカなど、一旦着陸すれば例え滑走路を走っていても「携帯電話はご使用になれます」と機内アナウンスを行う例もあるほどです。どんなルールでも、顧客ニーズや実社会の現実を踏まえた上で、臨機応変に対応していかなければ、サービスの向上につながりません。

大好きなJALだからこそ苦言を申す!

 顧客サービスをないがしろにしては、航空会社の将来はありません。JALを例にとるならば、ビジネスクラスのミールサービスでも、一括で出してしまうワントレイサービスを、何のためらいもなく各アジア路線で強行する程、今や他社のエコノミーと変わらないレベルまで落ち込んでしまったようです。成田−香港線がその最たる例で、洋食をオーダーすると、パンのお皿がない上に、パンを置くスペースさえない小さなトレイですので、いたる所にパンを置かれてしまいます。ある時はデザートの横に、ある時はトレイの片隅に直に置かれるなど、常識では考えられません。この件については再三、客室乗務員の方にクレームをいれていますが、香港路線は時間が短いから仕方がないとのことです。しかし成田から香港までの就航時間は4時間35分もありますので、前述したキャセイパシフィックの例からもわかる通り、時間の余裕はたっぷりあります。事実、JAL便ではフライト時間の前半で食事が全て片付いてしまうため、客室乗務員にとって後半はかなり手が空いてしまうことを幾度となく目にしています。2時間半の就航時間しかない成田―ソウル間でさえ、他の航空会社ではワゴンサービスを含むステーキディナーを提供していたこともあった程です。コストダウンを実現するために、旅客が犠牲になることを承知の上で、客室乗務員の数を減らしてまでサービスのレベルを落とす手段にうって出たのは明らかです。
 また中国路線ではJASを買収した後もJALのサービスは何ら向上が見られません。特にビジネスクラスのシートピッチ(前後の間隔)が問題です。他の航空会社のビジネスクラスでは今や、150−175cm程度のシートピッチが標準となってきています。そうしないと、前の席の背もたれが倒れるだけで、窓際の乗客が通路に出られなくなってしまうのです。ところがJALの中国路線は115−125cmという狭さのままです。いくら乗客を詰め込むといっても、共同運航便の中国南方航空でさえ、時折スリークラスのボーイング機を飛ばし、ずっと快適なシートピッチを提供しています。
 ラウンジをとって見ても、JALは単に静かで高級感があるということだけがとりえのようです。食べ物も簡単なスナック程度しか置いておらず、インターネット関連の設備も遅れをとっています。香港のキャセイパシフィック航空のラウンジでさえも、ルフトハンザ航空のように美味しいレストランが在ります。このように、多種多様のライフスタイル、旅客のニーズに対応できる様々な施設と、旅人をもてなすレストランを含む、行き届いたサービスを提供しない限り、JALは海外勢との競争に勝つことができないでしょう。
 航空業界の世界的トレンドとしては、無論、コスト競争力については大変シビアな考えを持ちつつも、顧客サービスはむしろ、存分にコストをかけて向上させる方向に動いています。旅客のニーズを無視した形で、コストダウンのつけを消費者に回し、サービスを低下させることは時代錯誤も甚だしいといえます。それをJAL経営陣が理解し、初心に戻って顧客重視の姿勢を貫きながらも、企業自ら構造改革を通してスリム化を徹するまでは、JALの低迷は続かざるを得ないでしょう。JALが世界のJALとして、その極上のサービス故に名声を再び世界に轟かすようになることを願ってやみません。


(文・中島尚彦)

この記事のご意見はこちら


この記事に対して、次のようなお声がありましたので、ご紹介致します。
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佐倉市在住 K様

空の旅の将来

私が毎号あなたの論説に、賛成と敬意を持っている事は、既にご存知だと
思います。ただ今回のご意見に対しては、「正反対の考え」もある事を
知っていただきたいです。

私の意見では、航空会社のサービスの重要度は:
 1)安全
 2)定時運行
 3)旅客の快適
であると、考えております。

貴方はフライト中の食事の豪華さを、偉く評価し、それが会社間の競争で
重要であるとの主張です。

私は移動のために飛行機に乗るので、飲んだり食べたりしたければ、レストラン
へ行けばよい、と考えております。だから機内食はサンドウィッチとコーヒーで充分
であると、かねがね主張してきました。私としては、機内食などのコストは削って、
客席前後のピッチをもう少し広げて欲しい。

航空会社間の過当競争のために、少なからざる会社が倒産したり、身売り
しているのは、ご存知のとうりです。民間航空網がかくも発達したお陰で、
長距離の旅行が、容易に出来るようになりました。

この便宜を提供している航空会社は、それなりの利益を得て当然であり、
旅客の利益ばかり主張して、トコトン利益を失うような環境は好ましくありません。

だから航空会社は、削りうるコストを削って、リーゾナブルな利益を得る事を
私は支持します。この見地から再度申しますと「豪華な飲食を希望する人
はレストランへ行ってください」、「私は前記3つのサービス基本の方を重視
します」と言う結論です。

正反対の考えも有る事は知って頂きたい、と言う事です。

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成田シティージャーナル編集部コメント:

K様

今回の記事は、日本の航空会社のサービスにおいて、もっと上を目指してほしいという趣旨で述べております。航空会社の第一優先事項は「安全・定時運行」であると当方も十分に認識しております。その上で、今回あえて、ラウンジの在り方について言及しています。また10時間前後の長時間及び長距離の旅を強いられる国際線の旅で、2食提供されるフライトではサンドイッチという訳にはいきません。世界的な流れというものがあるようで、機内食は全体的にグレードが上がってきています。また記事にも記載しているシートピッチが150以上のビジネスクラスを提供している例は、ノースウェスト、コンチネンタルなど、一度は倒産した会社が名を連ねます。旅客の利益を優先した高いサービスを提供し、見事に復活を遂げた良い例です。双方ともファーストを廃止して、ビジネスファーストの位置づけで優れたサービスを提供することにより、多くのファンが戻り、それが収益力の回復につながりました。ご意見ありがとうございました。


・ファーストクラス
 ルフトハンザ航空=ベタ褒め

・ビジネスクラス
 シンガポール航空・キャセイパシフィック航空=褒め

これだけの記事を書かれてしまうと、
「ルフトハンザのファーストクラスは素晴らしいんだなあ。でもファーストクラスは
庶民の私には無理だから、せめてルフトハンザのビジネスクラスで気分を味わおうか
な。」
と思う読者がいても不思議ではないでしょう。それが自然な流れです。

しかし、ルフトハンザのビジネスクラスは良いどころか、平均以下のレベルです。食
事がパっとしないのは勿論、履物だってチャチでお粗末です。当方は旅行会社のツ
アーに申し込んで、オプション料金を払いビジネスにするので、普通のビジネスとは
待遇が違うのかも知れません。それでも、同様に利用してきた外国航空会社の中で、
ルフトハンザはお世辞にも薦められるサービスではありませんでした。ルフトハンザ
を利用したツアーなら避けるのをお薦めしたいくらいです。毎年2回程度ですから旅
行回数は知れていますが、それでもサービスの比較くらいはできます。

ここで記事を振り返ってみましょう。
ビジネスのルフトハンザは触れてない、良いとも悪いとも。しかし、ファーストクラ
スで良い方だけ書いて、ビジネスでは触れない。錯誤を誘発する記事構成ではありま
せんか?

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成田シティージャーナル編集部コメント:

今回の記事では、ルフトハンザ航空についてはラウンジについてのみ言及しております。ご指摘の通り、ルフトハンザの機内サービスは、ファースト、ビジネス、エコノミー共々、以前と比較しますと見劣りし、また使用機材も老朽化しています。その分、思い切って、ラウンジでリカバリーしているのがまた面白いところでもあります。

ヨーロッパ線でリーズナブルと思われるのは、バージンや、2クラスのKLM等であり、フラットシートを導入した新型機材のJAL等は(たまに旧型が飛んでいるので都度、確認する必要があります)ビジネスクラスの方が、ファーストよりも座り心地がよくなっている程です。食事がもう少し良くなれば、JALのフラットシートはお勧めなのですが、これもまた難しいようです。

ご意見ありがとうございました。

 

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