VOL.28
かもねぎの COME ON MUSIC!!
〜ヒットラーとPA〜
コンサートではステージの脇に巨大なスピーカーが山積みされている光景を見かけます。スタジアム等では鉄塔にスピーカーを組んだりします。音楽が劇場で披露されるものだった時代は適度に響くため拡声の必要はありませんでした。拡声システムを発展させたのはナチスドイツのヒットラーです。独特の節回しで演説をするヒットラーの声を大勢の人たちに聞かせるためには大音響PAシステムが不可欠でした。
PAとはPUBLICADDRESSの略で、本来は大衆演説のような意味です。現在コンサートなどで音響を組む人のことを「PAスタッフ」と呼ぶのはここから来ています。ナチスドイツがあそこまで勢力を伸ばすことができたのはヒットラーのカリスマ性に加え、ラジオやPAの有効活用にあったと言われています。特にベルリンオリンピックでの演説はその賛否は別として歴史に残るものです。大観衆で埋め尽くされたスタジアムの隅々にまで届き渡るヒットラーの声は、その勢力を決定付けました。その後も大会場での演説を繰り返すたびにシステムは巨大化していきました。その名残かドイツ、オーストリアなどには音響機器の老舗ブランドが残っており、スタジオやライブで使われているものも多数あります。
戦後このPAシステムの巨大化に挑戦したのがTHE BEATLESです。スタジアムを埋め尽くす黄色い絶叫の中、自分達の演奏もろくに聞こえなかったというのは有名な話で、あるときなどは口パクだけで音を出さなくても誰も気づかなかったそうです。それでも彼らの使用機材は当時の技術を結集して作られた破格の300Wのギターアンプでした。
時は流れ1000〜2000W級のスピーカーが当たり前になった昨今、このPAのルーツが第2次世界大戦にあったのは意外ですが、これもまた日常音楽に携わるものとしては興味深いルーツであります。 |